内容証明って、ご存じですか?
内容証明書とは、その手紙の内容に対してどのようなものであったかを郵便局が証明してくれる文書のことです。
内容証明として郵送するには、同じものを3部作る必要があります。
●一部は、当然、相手方に送付されるもの。
●一部は、差出人控え。
●一部は、郵便局控え。
相手方への送付は、配達証明を利用します。
どうして、わざわざこんなやり方をする必要があるのかと言いますと!
・普通の郵便だと、相手方は内容の改ざんができてしまう。
・配達証明や書留じゃないと、相手方に「そんな手紙、受け取ってないよ?」と、とぼけられてしまう。
・書留より、配達証明がいいのは、内容証明って、たいてい文末に「本書面到達後○日以内に」と記載があって、到達日を明らかにするために配達証明にするのです。
書留でも、同様の内容を送ることができますが、相手に届いた期日の証明ができないので起算日が特定できないのです。
ですから、「期限内」に「いつ、どんな意思表示をしたのか」を明らかにすべき場合に、内容証明を利用するのです。
例として・・・!
・返済期限通達書
・遺留分減殺請求
・クーリングオフ
内容証明は、単なる手紙が公的に証明されるだけであって、法的効力があるということではありません。
一部、効力を発生するものもありますが殆どの内容証明は、受け取った側に対して、何の強制力も持っていません。
上記に記載した遺留分減殺請求や、クーリングオフも、返済期限通達も内容証明にしても、そのものに効力があるわけではありません。
ただ、効力ある手続きについて、相手方に無視されることを防ぎ、より確実にするために内容証明にする方がベストということなのです。
ということなので、多くの場合の内容証明は、所詮ただの手紙であることが殆んど!という事が理解いただけましたね!
督促状なんて、結局、ただの請求書?と言われてしまえば、それはそうです・・・!ということです。
ですから、多くの場合ただの手紙を内容証明にすることで、相手方にプレッシャーをかけるのが目的であって、強制的に貸したお金を返済させる力というのは、少し期待薄です。
ただし、専門家名の入った内容証明だった場合、内容証明にある「法的手続きを取らざるを得なくなります」という文言が加わることで、更に重みが増し、より強力なプレッシャーになり、実際に返済を強制的に行うための手続きを相談している!ということで、専門家に依頼される人が多いようです。
あんまり喧嘩腰にしたくなくて、ただの証拠にしておきたい場合は、逆に専門家名を入れないという場合もあります
内容証明が効果を持つとき・時効
内容証明と言っても、所詮ただの手紙ということは前述しました。それでも、内容証明を用いることに、意味があることが多々あります。特に、多く利用されるのは、時効が絡むもの(期限の利益)です。
クーリングオフは8日間(違うのもありますが)、遺留分減殺請求は12ヶ月。
売掛金、貸金なども、通常の請求では時効が成立してしまうことから、内容証明によって時効の成立を防ぎます。
ただし、こっちは、クーリングオフや遺留分減殺請求と違って、そこから更に、期限内に次の手続きに進む必要があります。
主な貸金などの時効期限
◎時効期日の起算日には種々の見解があるが、おおよそ下記のように考えてよいと思います。
●返済期日を定めない契約で一度も返済しなかった時の起算日は契約日の翌日で時効は、それから数えて5年
●返済期日を定めない契約で一回以上返済した時の起算日は、最後に返済した翌日で時効はそれから数えて5年
●返済期日を定めた契約で一度も返済しなかった時の起算日、は最初の返済予定日の翌日で時効はそれから数えて5年●返済期日を定めた契約で一回以上返済した時の起算日は、最後に返済した次の返済予定日の翌日で時効は、それから数えて5年
●債務名義が作成された時の起算日は、作成された期日の翌日で時効はそれから数えて10年
◎上記の期間返済を一切せず、返済の意思表示もしなければ時効の援用により時効が成立すると考えられます。
そうして考えると、売掛金や貸金の内容証明の場合、それが送られてきたタイミングや、それまでの経緯を考えると、多くの内容証明の解説にあるように「ただの請求書と同じだから、無視すればOK」と、安易に考えることは、できないことがわかります。
内容証明の末尾に、あたかもひな形にそうあるから書いてみたかのように思える「法的手段をとることになります」の文言は、必ずしも書いただけとは限りません。
受け取った側から、受け取った内容証明の重みを検討する場合、法的手段が取られるとしたら、どのようなものがあるのか、真剣に考える必要があります。
受け取った側からすれば、内容証明が来た時が、相手側に猶予や譲歩を求める最後のチャンスかも知れないと言うことを、良く考えるべきかも知れません。
もちろん、内容証明を送ってはいけない時、という記事でご紹介しようとは思いますが、夜逃げする絶好の機会とも受け取れます。
コメント